オフセット項を導入した多重逆モデルによる非線形システムのフィードフォワード学習制御

背景

近年, 制御対象のモデル化を経由せずに, 実験で得られたデータを直接用いて制御系を設計するデータ駆動型制御というアプローチが, 活発に研究されている.
その中でも, 2 自由度適応制御系にJust-In-Time モデリング法(JIT 法) を適用した手法が注目されている. JIT 法は類似した信号列を探索するため, コンピュータの性能が飛躍的に向上した現在であっても, 蓄積するデータ数によってはメモリスペースと計算時間の観点で問題を残している. 先行研究で提案された手法では,スケジューリングパラメータを探索キーとして導入することで, 計算時間の短縮が図られているが, 十分な追従精度を得たい場合には, 依然として大きなメモリスペースを必要とする.

目的

本研究の目的は, 非線形システムに対するフィードフォワード学習制御において, メモリスペースや計算時間を増大させずに追従精度を向上させる制御法を提案することである.

提案手法

研究目的を達成するために, 本研究では2つの手法を提案する.

1. 線形補間回帰を用いたパラメータ調整則によりFF制御器パラメータを学習する手法

図1. 線形補間回帰によるFF制御器パラメータの学習制御法

図1. 線形補間回帰によるFF制御器パラメータの学習制御法

2. オフセット項を導入した動作点近傍モデルに基づくFF 制御器の構造に関する手法

図2. オフセット項を導入したモデル構造を持つFF制御器の学習

図2. オフセット項を導入したモデル構造を持つFF制御器の学習

結果

2つの手法を組み合わせた提案手法の性能を検証するために, 図3に示す1リンク垂直駆動アームを制御対象とした数値シミュレーションを行った.
結果として, 図5, 6に示されるように, 提案手法は従来手法よりも良好な追従性能を達成できることが検証された.

図3. 1リンク垂直駆動アーム

図3. 1リンク垂直駆動アーム

図4. シミュレーションにおける学習初期の応答

図4. シミュレーションにおける学習初期の応答

図5. シミュレーションにおける学習後期の応答

図5. シミュレーションにおける学習後期の応答

関連論文

Kenji Sugimoto and Fuyuki Ito:
“Interpolated Regression for On-line Local Modeling in Feedforward Learning Control,”
International Conference on Control, Automation and Systems (ICCAS 2014), pp. 249-254, Seoul, Korea, October 22-25, 2014.