太陽光発電システム群の分散協調制御

背景

 近年,太陽光発電が大量導入されており,図1に示すような多数の太陽光発電から構成される電力システムである太陽光発電システム群が注目を集めている.一般に電力システムでは,瞬時瞬時に,消費する電力量(電力需要量)と発電所から供給する電力量(電力供給量)を一致させるという需給バランスの維持が求められる.しかしながら,図2に示すように,太陽光発電による出力は気象条件により変動するため,多数の太陽光発電から構成される電力システムでは需給バランスを維持するための対策が必要となる.また,エネルギーの自給自足の観点から,電力の地産地消の実現も求められる.
 そこで本研究では,太陽光発電システム群において,需給バランスと地産地消を達成するように各太陽光発電をON(電力系統に接続し,電力を供給),またはOFF(電力系統から切断)制御する問題に取り組む.


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図1 太陽光発電システム群

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図2 気象条件により変動する太陽光発電による供給量

目的

 本研究では,図3に示すように,各太陽光発電に実装した分散制御器を情報網上で協調させて,つぎの仕様を満たすように各太陽光発電のON/OFFを決定することを考える.
仕様① 需給バランス
  ② 地産地消(図4)
  ③ ON/OFF切替回数削減(図5)
それゆえ,研究目的は,仕様①,②,③を満たすようにON/OFF制御するための分散制御器を提案することである.


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図3 電力網層と情報網層

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図4 地産地消

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図5 ON/OFF切替回数削減

問題設定

 電源の位置関係と発電容量の情報,日射量分布,電力需要量分布が与えられた際,仕様① 需給バランス,② 地産地消,③ ON/OFF切替回数削減を達成するように,各太陽光発電のON/OFF(運転モード)を適切に決定することを考える(図6)


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図6 問題設定

提案する分散制御器

 提案する分散制御器Kiは,図7に示すように2つの制御器Ki1, Ki2から構成されている.
まず,制御器Ki2により,③ 切替回数削減を達成するようにON/OFF切替えの抑制を行う.その後,制御器Ki1で,切替抑制による影響を小さく,かつ① 需給バランスや② 地産地消を達成するように非常に短い周期で近傍の太陽光発電と情報伝達を行うことで,最終的にON/OFFを決定する.


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図7 提案する分散制御器

数値例

 まず初めに,ある時刻におけるON/OFFの結果を示す.
図8に示すように電源の情報,日射量分布,需要量分布を与えた際のON/OFFの結果を図9,10に示す.図9より,① 需給バランスを達成していることが確認できる.図10より,② 地産地消を達成するように,各太陽光発電のON/OFFを決定していることが確認できる.

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図8 電源情報,日射量分布,需要量分布

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図9 需給バランス

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図10 各太陽光発電におけるON/OFF

 つぎに,時々刻々と変化する需要量分布を与えた際の,時刻間における全電源のON/OFF切替回数を図11に示す.切替を抑制しない場合に比べて,提案手法の方が③ 切替回数削減を達成していることが確認できる.

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図11 時刻間におけるON/OFF切替回数