通信遅延・センシング障害の下での状態推定

背景と目的


 近年、ネットワーク通信や非接触センサを積極的に用いたオープンな環境での制御・観測システムが注目されているが、そこではパケットロスや外れ値の発生により起こる信号の損失が問題となっている。このような損失はシステムの”故障”ではないものの、予期せず起こり、結果として制御・推定の周期を不規則に延長せざるを得ないため、従来の一定周期を仮定したオブザーバ設計では対応が難しい。
 そこで本研究では、連続値の出力信号からのサンプリング周期が未知かつ不規則に変動する場合に安定なオブザーバを設計する方法を提案する。具体的には、サンプリング周期は与えられる基本周期の整数倍であると仮定し、その整数値が未知かつ不規則であるとする。ただし、整数の上限は与える。

成果


 上のブロック線図のような設定の下で、誤差ダイナミクスを周期の切り替わる切替え系として導出し、それらを共通のオブザーバゲインで安定化する問題を線形行列不等式(LMIs)へ帰着した。このLMIsを満たす共通解が得られれば、その解から得るオブザーバゲインによって誤差ダイナミクスを安定化できる。以上が主結果である。

 ドローンとモーションキャプチャを用いた検証を行った。サンプリング周期を乱数で与えた場合の推定結果を以下に示す。周期が基本周期で一定であるとした場合(左図)では推定誤差が発散しているのに対し、提案法を適用した右図では推定値が真値に収束していることが確認できる。