双腕ロボットによる物体への輪ゴムかけスキルの実現

背景

近年になって,ロボットによる産業・生活支援における実環境での物体のハンドリングがますます必要となってきている.これまで,このようなロボットのハンドリングの研究では,力を加えても形が変わらない物体である剛体を扱うことを想定したものが多かった.

しかし,実環境には力を加えると形が変化する不定形物も多数存在する.例えば,紐などの線形の物体,服を構成する布,またはゴムを素材として構成される製品などである.
その中で本研究は,複数の物を束ねるなど多様な用途に使われる輪ゴムに注目し,ロボットによる輪ゴムかけスキル実現のための枠組みの構築を目標とする.

提案手法

輪ゴムを含めた不定形物の特徴として,不定形物に十分な外力が加わっていれば,形状予測が容易となる性質に着目した.すなわち,輪ゴムに張力を加えることでその形状は接点を頂点に持つ支持多角形に近似できる.

そこで本研究では,確率最適制御の枠組みを用いて,輪ゴムへの張力という力学的拘束条件を持つ運動計画手法を提案する.まず,物体への輪ゴムのかかり具合を定量的に表す絡まり位相空間を利用して輪ゴムかけに関するコストを評価する.そして,輪ゴムに十分に張力を与えた状態(力学的拘束条件)で実際の輪ゴムかけ動作の教示データを収集し,輪ゴムかけ動作可能な状態空間を生成する.これらコストと状態空間から,確率最適制御の一手法としてカルバックライブラー制御を利用することで,多様な輪ゴムかけ動作を計画する.

成果

実験では,双腕ロボットを用いて提案手法の有効性の検証を行い,目標コストである絡まり率と手先間距離を変化させることでロボットがそれぞれの目標に応じた多様な輪ゴムかけ動作を実現できることを確認した.