ガウス過程を用いた判別的な動作意図予測器と起立支援ロボットへの応用

背景と目的

近年,動作支援ロボットは高齢者や身障者の動作支援や介護者の作業支援などの用途が想定されることから研究が活発化している.遅延がなく快適な動作支援を行うためにユーザの動作意図を予測することは重要である.
動作意図予測に関する研究において,リハビリのための単一の動作のみを行う状況を想定しているものが多い.
しかしながら,日常生活において人間は多様な動作を行っており,対象動作以外の動作も多く存在ため,先行研究を模した手法では誤った支援を行ってしまう危険がある.日常動作を支援するロボットへの応用を考えると,多様な動作の中から対象動作を判別し,同時に動作意図予測を行う予測器が事実上必要である.
(例えば下の図のように,起立動作支援器において,起立動作以外の動作(足踏みなど)を行ったときに誤って支援されるのは危険)

そこで,本研究では:
・対象動作の意図を予測する性能
・対象動作かそれ以外の動作(非対象動作)であるかを判別する機能
を有する予測器をガウス過程に基づく確率モデルによって設計する.
具体的には,以下の手法を問題に当てはめ,うまく組み合わせ,同時に学習を行う.
(これにより,予測器の部分と判別器の部分をそれぞれ別に設計する必要がなくなる)

ここで,提案手法のベースとなっている手法は:
・ガウス過程回帰(GPR: Gaussian Process Regression)
・ガウス過程に基づく特徴抽出手法(GPLVM: Gaussian Process Latent Variable Model)
・ガウス過程に基づく判別的な特徴抽出手法(D-GPLVM: Discriminative-Gaussian Process Latent Variable Model)
である.

成果

本研究では,提案手法を検証するために,椅子からの起立動作を対象動作として,離座(座面から臀部が離れる)の発生時間を予測する問題として実証実験を行った.筋電位や加速度などのセンサ値を入力として,離座発生時間を予測する.このとき,対象動作以外の動作(非対象動作)として前に屈む動作や足踏み動作を含むデータを用いて実験を行った.
結果として,提案手法は離座の発生時間を予測する予測誤差が比較手法と比べて小さく,対象動作か非対象動作かを判別する機能が最も高い結果となった(下記の図を参照).

また,提案手法による実機実験を行い,その結果の一例を下記に示す.

この結果からも対象動作である起立動作に対しては起立動作支援をおこなっており,非対象動作に対しては誤った支援を行っていないことがわかる.※非対象動作に対しては安全のため起立支援器にマネキンを変わりに座らせています.

以上のことから提案手法の有効性を確認した.