非線形システムに対する予測ガバナの設計と自動走行制御への応用

背景と目的

 近年,自動車の自動運転技術が注目されている.自動運転技術は,走行経路などの予測を行う「予測」のフローと,実際に予測された情報(予測値)を使って自動車を制御する「制御」のフローから実現される.従来の研究では,高度な自動運転制御を実現するために,予測や制御の手法に関する研究が行われている.一方,本研究では,これらの研究とは視点を変えて,「予測」と「制御」を適切につなぐための新しいアプローチを考える.新たに「予測値整形」というフローを自動運転技術に組み込み,予測によって得られた予測値をシステムに合わせて上手く整形することに着目をする.先行研究では,予測値を整形する予測値整形機構として「最適予測ガバナ」が提案されている.本論文では,この予測ガバナを自動運転システムに応用することを考える.しかし,先行研究で提案されている予測ガバナは線形システムを適用対象としており,自動車のシステムなど非線形システムに直接適用することができなかった.そこで,本研究では,非線形システムに適用が可能な予測ガバナの設計を研究目的とする.

成果

 本研究で得られた成果をつぎに示す.
 ・非線形システムに対する予測ガバナの最適設計問題を定式化
 ・解析的手法および数値最適化手法による予測ガバナの設計
 ・設計した予測ガバナを自動運転制御へ応用
なお,自動運転制御への応用では,自動車の軌道追従シミュレーションおよび,レーンキープ走行の実機実験によって,提案手法の有用性を確認した.以下の動画は,実機実験の結果を示している.従来手法では車線維持に失敗していたものが,提案手法を適用して操舵信号を整形することで車線の維持に成功している.