深層展開による安定化制御器の設計

背景と目的

システムを安定にする制御器の設計は制御工学において重要な問題であるため安定化制御器の設計の研究が行われている.制御器の設計ではシステムの安定性解析問題をもとに設計問題を定式化し,定式化した最適化問題を解くことによって安定化を行う手法が提案されている.安定性解析問題より定式化した設計問題は双線形行列不等式となるため双線形行列不等式を解く必要がある.
しかしながら,双線形行列不等式はNP困難な問題であるため解くことが難しい問題である.そのため,本研究では機械学習の最適化手法を用いた深層展開に基づき,安定化制御器の設計を行う.
本研究で提案する手法ではまず,深層展開を用いて制御器の候補を求める.求められた制御器の候補を用いたシステムは理論的に安定性が保証されていないため,得られた制御器の候補に対して既存の安定性判別手法を適用し,理論的にシステムが安定になる制御器の設計を行う.

成果

本研究で得られた成果を以下に示す.

  1. 機械学習の手法を用いた設計アルゴリズムの提案
  2. 入力飽和を含むシステムとむだ時間システムに対して適用可能な安定化制御器の設計手法

本研究では提案手法の有効性の検証のため,入力飽和を含むシステムとむだ時間システムに対して提案手法を用いて安定化制御器の設計を行った.入力飽和を含むシステムに対してAnti-windup制御器を備えた動的制御器の設計を行った結果,線形行列不等式を用いた従来法と比較し,より大きな範囲でシステムの安定性を保証する制御器を求めることができた.むだ時間システムに対しては線形行列不等式を用いた従来法では安定化することができないシステムに対して提案手法を用いて設計を行った結果,安定化制御器を求めることができた.