人と相互作用するロボットにおける使用者に適した最適化を目指した主観の分析

概要

現在,世界的に高齢者が増加し,超少子高齢化社会が問題視されている.その社会的な影響とは,まず労働に携わることの出来る若者層の減少により労働力が低下していること,そして,高齢者の増加により,介護者の負担が大きくなってきている.

これらの問題を解決するにあたって,労働用ロボット,介護ロボットなどが期待を集めている.この2種類のロボットに共通していることは,人との物理的な接触が求められるという点である.つまり,今後は人とロボットが物理的な接触を扱うphysical Human-Robot Interaction (pHRI)が大きく発展することが予想される.

こういった人と相互作用を行うロボットにとって重要なことは,そのロボットの使用者にとって柔軟な動作をし,心地よく相互作用を行えることである.そのようなロボットを実現するためには,ロボットの動作を左右する制御パラメータを使用者に合わせて適切に決定する必要がある.しかしながら,使用者に合わせた適切なパラメータとは主観的なものとなり,定量化が困難である.そこで,使用者の持つ主観について分析し,定量化することが求められる.
なお,ここでいう主観とはその使用者が感じる相互作用での心地よさをいう.

本研究では物理的な接触により使用者に追従するロボット(力覚ベース操作型移動ロボット)を用いて,使用者とロボットがともに8の字コースを1週するタスクについて考える.ここでロボットを操縦してもらう被験者を8人用意し,それぞれの主観的な操作の心地よさを小型入力デバイスより直接取得し,ロボットの各センサ値との関係を重回帰分析した.分析結果より操作の心地よさを示す評価関数を定量化し,それについて2人の新たな被験者より検証した.


成果

8人の分析結果をクラスタリングすることで,1人の被験者を外れ値とすると,他は似たような傾向になることが分かった.分析結果より評価関数を一意に定量化し,それを2人の新たな被験者で検証した.

結果のグラフは横軸に評価関数による評価値,縦軸に小型入力デバイスにより真の評価値を示している.両方の被験者が評価関数が大きいほど小型入力デバイスによる評価値が大きくなっていることから,評価関数は正しく設計できていることが確認できた.

さらに,評価関数について考察することで,本タスクにおいて車輪の角度は冗長なパラメータであること,そして,人とロボットとの適切な距離が重要であることが分かった.