パートナーロボットの不正利用防止のための継続的権限認証

背景と目的

情報漏洩や不法侵入による窃盗事件等の被害件数の増加に伴い,セキュリティ強度を高めるとともに利便性を向上させることが重要となっている.
少子高齢化に伴って増加が予想されるパートナーロボットにおいても,プライバシーに関わるデータを用いるためセキュリティを強度を上げる必要がある.
特に,非装着型のロボットではセキュリティ強度向上のため,認証手法としては一度きりの認証である静的認証だけでなく,該当セッションと並列して処理を行う継続的認証が望まれている.

この継続的認証のための個人認証技術として,身体的特徴や行動的特徴から個人性の高い特徴を抽出して認証を行うバイオメトリクス認証への注目が集まっている.
バイオメトリクス認証において,DNAなどの身体的特徴により認証を行う場合には計測機器が高価となるため,日常的な利用においては行動的特徴によっての認証が望まれる.
この行動的特徴を用いての継続的認証を行う際には時系列データの処理を行う必要がある.

時系列データを処理する場合ディープラーニング手法の一つである再帰的ニューラルネットワーク(RNN)が使用される.このRNNにおいて,記憶容量を増大させるために長短期記憶(LSTM)というアーキテクチャが用いられている.しかし,LSTMは構造が複雑であるため,計算量が多くなるという問題がある.本研究ではこの継続的権限認証に伴う時系列データの処理において従来のLSTMを簡略化した構造を提案し,パートナーロボットの使用時に登録ユーザと他のユーザの判別を行う.

成果

提案手法のメモリ使用量はLSTMの半分ほどとなった.この提案手法を用いて登録ユーザと他のユーザの継続的認証実験を行った.登録ユーザ及び他のユーザのコースを八の字走行した際の26次元のデータを取得した.その際の26次元のデータの一例として,ポール先端のx軸,y軸方向にかかる力を以下に示す.この二つの図の200step前後で他のユーザのセンサ値の更新が止まっているが,これは走行中にロボットのポールがロックされ,ロボットが停止していることを表している.逆に登録ユーザの時にはロボットは停止せず,継続的に走行を認証していることが確認できる.