研究テーマ
ユビキタス社会の実現によりコンピュータ制御とその知能化が至る所で可能になりました。当研究室ではシステム制御と機械学習、信号処理、センシングやそれらの融合研究に取り組んでいます。以下では、まず概観を示した上で、現在のテーマを幾つか紹介します。ただし研究テーマは刻々と変化するものですので、ここに挙げるのは一例に過ぎません。
— 知能システム制御:我々が目指すもの —
制御(コントロール)という言葉は日常でも用いられており、身近で基本的な考え方です。産業界にも広く普及していますが、今はまだ単純な手法しか実用化されておらず、さらなる高性能化が求められています。そのためには対象を数式で表し、合理的に解析・設計する必要があります。また、人間が成長とともに動作に上達するように、機械にも学習する仕組みがあれば望ましいでしょう。このような高度に知能化された制御システムを我々は目指しています。抽象度が高いので、すぐに実用化できるわけではありませんが、ここで学んだ基礎的な知識は社会に出てからも大いに役立つことと確信しています。
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現在扱っているテーマ例
ロバスト制御・適応学習制御
ロバスト制御など先端的な制御理論とその応用に取り組んでいます。例えば現在は、生体の運動学習モデルとして著名なフィードバック誤差学習(FEL)を制御工学的に研究しています。コンピュータを駆使したデータ駆動型の制御系設計にも興味があります。
ネットワーク化制御・切り替え系
あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの時代に制御技術はどうあるべきかを考えています。具体的には、信号伝達のランダムな遅れ(ジッタ)や不定期的な損失(パケットロス)に対してロバストな切り替え制御システムの設計法を提案し、ドローンなどの移動体によって検証実験をしています。

分散最適化・合意アルゴリズム
1台の計算機では扱うことが不可能なほど巨大なビッグデータを扱えるようにするため、プライバシーの問題から外部に公開できないようなデータを扱えるようにするため、複数の計算機で最適化問題や合意問題を解く分散アルゴリズムの提案及び性能解析を行っています。
ネットワーク解析
現在、ネットワークは社会のありとあらゆる場所に現れています。そこで、グラフ理論や制約充足問題などを利用して、ネットワークの特徴を定性的・定量的に解析する研究を行っています。電力システムの解析や感染症モデル、SNSの情報拡散モデルへの応用も行っています。
ニューラルネットワーク
生物の優れた脳の情報処理構造を獲得するために,ディープラーニングやリザーバコンピューティングを基にした開発を進めています.
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生物を規範とした学習構造
これまでの数理的に都合の良い学習構造から,生物の優れた特性を再現するようなものへと転換する試みとその解析を行っています.
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ヒューマンロボットインタラクション
ヒトと物理的にふれあうことができ,様々な動作を支援することを目指した次世代のロボットのための要素を開発しています.
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マルチエージェント強化学習
これからのロボット共生社会で構築される大規模な自律分散ロボットシステムにおいて実用的な強化学習手法について研究しています.
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研究設備

テーマ例(ほか項目との重複あり):
潜在空間を駆使したヒトの振る舞いに適応するロボットの制御
超長期記憶容量を有するリカレントニューラルネットワークの開発
フィードバック及びフィードフォワード方策を統合する強化学習
逆変換可能なネットワークを活用した複数道具の使い分け

テーマ例(ほか項目との重複あり):
自律的に目的を定めるための内発的動機づけ
楽観的な意思決定を促進する強化学習
べき乗則に従った将来の考慮を可能とする強化学習
フィードバック及びフィードフォワード方策を統合する強化学習
逆変換可能なネットワークを活用した複数道具の使い分け

テーマ例(ほか項目との重複あり):
潜在空間を駆使したヒトの振る舞いに適応するロボットの制御
ヒトとの接触力を陽に取り入れたヒューマノイドロボットの歩行制御
柔軟アクチュエータの性能を最大限発揮するモデルベース強化学習
ヒトをエージェントとみなすマルチエージェント強化学習

テーマ例(ほか項目との重複あり):
他エージェントと協力・競争するための報酬操作アルゴリズム
安全なエージェント間相互作用のためのセーフ強化学習
大規模化に向けたエージェント間通信ネットワークの最適化
自律的に目的を定めるための内発的動機づけ
ヒトをエージェントとみなすマルチエージェント強化学習

制御や機械学習では大規模な数値計算を必要とする手法を用いることがあり,また検証のための数値シミュレーションが必要となります.これらのために学生には必要に応じて最新CPUや十分なRAM,ディープラーニングなどには最新GPU,を搭載したデスクトップPCを貸し与えています.

宇宙作業用ロボットマニピュレータは,軽量かつ広い作業空間を求められます.一般に,このようなロボットマニピュレータはアーム部が柔軟な素材で作られるため,これを精密に位置制御するには,リンクのたわみによる先端の振動を十分に抑制する必要があります.当研究室では振動抑制の他に,学習による適応制御を用いて良好な目標値追従特性を獲得することを試みています.

自動運転技術の開発ツールとして製作された実車サイズの1/10モデル.
種々のセンサを搭載し、速度・操舵角を操作して屋内での評価実験
を行います.

制御工学の分野でよく知られた実験装置です. 倒立した振子が倒れないように回転する位置を適切に制御します. 本研究室では, 制御理論の実験検証に利用しています.

LEGO社とMITが開発したプログラミング教材です. ライントレースカーや倒立ロボットが簡単に製作できます. 本研究室では制御理論のデモ用に活用しています.

Parrot社が開発したクワッドコプターです.状態を計測するためにモーションキャプチャシステム用のマーカーが取り付けられています.この計測における遮蔽や通信遅れに頑健なオブザーバの実験検証に利用しています.

Dobot社が開発した4自由度ロボットアームです.スライディングレールと連動することで広範囲での作業が可能となっています.
現在は,生涯学習(あるいは継続学習)を活用した文字の学習実験などに利用しています.

qbrobotics社が開発しているモジュール型の可変剛性アクチュエータを各関節に搭載したロボットアームです.関節の剛性を適宜調整することでダイナミックな運動やヒトとのインタラクションが可能となっています.
現在は,ダイナミクスをモデルとして学習して活用するモデルベース強化学習の実験などに利用しています.

当研究室で開発している4脚ロボットです.各脚にモジュール構造を採用して3Dプリンタを利用することで学生でも簡単に製作可能なものとなっています.
現在は,4脚歩行を階層的・多目的な問題として捉えて簡単なサブタスクから順に学習していくアルゴリズムの実験検証などに利用しています.

Trossen Robotics社が開発した6脚ロボットです.十分な接地面積とパワーがあるため安定した歩容を生成可能となっています.
現在は,状況に最適な歩容の自律生成手法や直観的な遠隔操作手法などの実験検証に利用しています.

WHILL株式会社が開発した電動車椅子に3つのRGB-Dカメラを搭載した自動運転システムです.人が見落としがちな箇所をサポートするShared Autonomyに関する研究や長期記憶が可能な予測モデルの学習手法などの実験検証に利用しています.

Robotis社が開発した小型の5軸ロボットアームです.物体操作時のモデル学習や触覚情報に基づいた制御技術などの実験検証に利用しています.

HEBI Robotics社が開発している直列弾性アクチュエータを用いた移動ロボットです.人からの力覚を計測可能なため,人との身体的相互作用を考慮した案内などの実証実験に利用しています.